起立性調節障害
起立性調節障害の頭痛
◎こんなお悩みはありませんか?
- 朝から頭痛や腹痛があって、学校に行けない
- 子どもが学校に行く時間になっても、なかなか布団やベッドから起き上がることができない
- 学校になんとか行けても、頭痛やだるさのせいで勉強に集中できない
- 家では元気なのに、学校に行こうとすると頭痛や腹痛を訴える
- 薬を飲んでも、朝起きられない状態がなかなか改善しない
◎起立性調節障害とは?
起立性調節障害は、自律神経の異常で循環器系の調節が上手くできず、起立時に体や脳への血流バランスが悪くなったり、心拍数が上がり過ぎたり、調節に時間がかかりすぎたりします。
この疾患は自律神経疾患なので身体的な要因の他に、精神的、環境的な要因も関わっています。
◎主な症状
- 朝から頭痛がする
- 立ちくらみ、めまい
- 立っていると気持ちが悪くなる
- 入浴時に気持ちが悪くなる
- 嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
- 少しの運動で動悸や息切れがする
- 朝起きられず午前中調子が悪い
- 顔が青白い
- 食欲不振
- 時々お腹(おへその周囲)が痛くなる
- 倦怠感や疲れやすい
- 乗り物に酔いやすい
この中の3項目以上を認める場合に起立性調節障害を疑います。
起立性調節障害の頭痛は横になっていると楽なことが多いため、朝から頭痛で起きれない子供が多いです。
頭痛は主に首の後ろ〜後頭部に起こることが多いです。
◎起立性調節障害の原因
小学校の高学年~高校生までに多くみられますが、思春期の急速な身体的な成長に自律神経の発達が追いつかず、交感神経と副交感神経のバランスが悪くなりさまざまな症状を引き起こします。
また、真面目で気を遣うタイプや完璧主義の性格傾向がある子どもが起立性調節障害になりやすいといわれていますが、これはストレスをため込みやすいという精神的、環境的な要因に関連すると考えられます。
発症要因については不明な点が多くはっきりとはわかっていませんが、発症に関与する要因がいくつか報告されています。
- 急速な身体的成長
- ホルモンバランスの変化
- 発熱やウイルス感染、体温上昇が続いた後
- 長期的なストレス
◎治療の方針
●セロトニン活性療法
ストレスをコントロールしたり、自律神経を調整するために必要なのが、セロトニンです。
当院では起立性調節障害のお子さんに対し、そのセロトニンを活性化させる手技を行います。
それにより、自律神経が整い起立性調節障害の症状も緩和していきます。
※起立性調節障害の頭痛は、緊張型頭痛や片頭痛といった頭痛ではないため、通院期間が長くなることがあります。
●生活や運動の指導
起立性調節障害の子どもたちにとって、朝が最大の難関です。
起きる時間や起こす時間の検討や起き上がり方や立ち上がり方の指導などをご提案します。
日中ゴロゴロばかりしていると、交感神経の調整ができないまま、さらに起立しづらくなるという悪循環になってしまうので、日中は身体を横にしないようにしましょう。
また体調不良で1日の活動量が減り、筋力の低下や体力の低下していってしまいます。軽い散歩やスクワットなどの運動もおすすめです。
●栄養指導
起立性調節障害の子どもは、血液量が少ないので、水分と塩分をしっかりと摂りましょう。
水分はこまめに飲み、食事以外に1.5〜2Lを飲みましょう。
塩分は食事を通して10〜12gを心がけましょう。1日3食、おいしいと感じる味がついている食事をすれば1日7g程度の塩分は摂れていますのでそれより少し多めの塩分を摂りましょう。
●ストレスをコントロールする生活環境
自律神経系は心の影響を受けやすいので、ストレスは症状悪化の大きな要因になります。
朝起きるのが辛く学校に行けないことは、子ども自身辛いと感じています。親もその苦痛を理解し、頑張っていることはしっかり評価し褒めてあげてこともとても重要です。
午後から体調が回復してくる子も多いため、習い事や部活動、遊びになら行けるということも起立性調節障害の子どもにはよくあることです。その子自身にあった「自分の時間割」で生活し、心の負担なく充実した生活ができるように、周囲も協力して見守りましょう。
参考文献
田中大介 . 小児科医が伝えたい起立性調節障害 症状と治療 .徳間書店 .2024